健康情報
慢性腎臓病
(CKD = Chronic Kidney Disease)
慢性的に腎機能が低下している状態を慢性腎臓病といい、近年増加しています。その原因は糖尿病性腎症や腎硬化症など、不健康な生活習慣によって引き起こされる生活習慣病の増加が深くかかわっています。
慢性腎臓病は放置していると症状のないまま進行し、いずれ腎不全となって人工透析が必要になったり、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を起こすこともあります。
※慢性腎臓病を発症する経緯はさまざまですが、ここでは、生活習慣から引き起こされる生活習慣病と慢性腎臓病のかかわりを解説します。
慢性腎臓病の発症と進行
不健康な生活習慣
- 食べすぎ
- 運動不足
- 喫煙 など
慢性腎臓病のリスク
- 糖尿病
- 高血圧
- 高 齢
- 肥満・ メタボリック シンドローム
- 動脈硬化
- 消炎鎮痛薬 など 腎毒性薬剤の 使用
- 家族に慢性 腎臓病患者 がいる など
慢性腎臓病 の発症
- 腎障害(尿たんぱく、尿潜血)
- 腎機能低下
- 末期腎不全(人工透析)
合併症の発症
脳卒中 心筋梗塞 心不全
腎機能の低下が初期段階でも心臓や脳の病気を起こすリスクが高まります!
腎機能低下とたんぱく尿があると、男性では約2 倍、女性では約4 倍もの高率で心筋梗塞や脳卒中で死亡しやすくなるという報告もあります。
※心血管疾患を起こすことや心血管疾患で死亡することなどです。
腎機能が低下するにしたがって心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症率が増加します。
死に至ることも
慢性腎臓病は、早期に発見して治療すれば進行を抑えられる可能性が高くなります。自覚症状が出てからだとすでに進行していることが少なくありません。健診で早期に異常を発見し、異常が見つかったらすみやかに専門医に相談し治療しましょう。
とくに慢性腎臓病に気をつけたい人
糖尿病の人
高血糖のため血管の障害が進み、同時に腎臓の糸球体の血管の高血圧も進みます。そのため腎臓が障害され、腎機能が低下します。糖尿病は心筋梗塞や脳卒中を起こしやすく、慢性腎臓病が重なるとさらにリスクが高くなるため注意が必要です。
糖尿病になったからといって必ず腎臓病になるわけではありません。血糖値を良好にコントロールしていれば発症を防ぐことができます。糖尿病の人は、糖尿病性腎症を早期に発見するよう受診や検査をきちんと受けましょう。
高血圧の人
血圧が高いと腎臓に大きな負担がかかり、腎機能が低下してしまいます。高血圧は、心筋梗塞や脳卒中の危険因子でもあります。血圧が高い人は、生活習慣の改善をしたり、医療機関で治療を受けたりしましょう。
肥満・メタボリックシンドロームの人
糖尿病や高血圧がなくても、過剰な内臓脂肪は腎臓の機能に影響し、慢性腎臓病の危険因子となります。また肥満やメタボリックシンドロームがあると脂質の代謝異常や動脈硬化を進行させ、腎機能を低下させます。肥満を解消し、内臓脂肪を減らすよう心がけましょう。
タバコを吸う人
喫煙は血管を収縮させて腎臓の血流量を減らしたり、血管にダメージを与え、腎機能を低下させます。タバコを吸っている人は禁煙しましょう。
この検査項目に注意!
血液検査
● eGFR
保健指導判定値:60mL/ 分/1.73m2 未満 受診勧奨判定値:45mL/ 分/1.73m2 未満
特定健診では医師の判断により追加される項目です。
尿検査
● 尿たんぱく
陽性(+)
①腎機能が通常の60%未満(eGFR60 未満)
②尿検査異常(尿たんぱく、尿潜血)
①②のどちらかあるいは両方が、3 カ月以上続くと慢性腎臓病が疑われます。
監修:一般社団法人 腎・代謝病治療機構 代表 中尾 俊之