健康情報

お酒を飲まない人も要注意!
肝臓を守る生活術

「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓。トラブルが起きても自覚症状が出にくいことから、異変が現れたときには、病気がかなり進行した状態で見つかることが多いのが特徴です。

肝臓は、体内の化学工場とも呼ばれ、栄養素の分解や合成、貯蔵、アルコールの分解、毒素の解毒、胆汁の生産などの生命維持に欠かせない機能を担っています。一方、肝臓はダメージを受けても働き続けることから、障害が起きていても自覚しづらいため、定期的に健診を受けて数値の経年変化を確認することが非常に大切です。
肝臓内の酵素(ASTやALT)、胆管で生成される酵素(γーGT)は、肝臓に障害が生じると、血液中に流れ出てその濃度が上昇します。このため、これらの数値が高い、もしくは年々上昇している場合は、肝臓に何らかの異変が起こっている可能性があります。
肝臓病の主な原因は、肝炎ウイルス(B型・C型)やアルコールの過剰摂取、薬剤などです。
また近年は、食べすぎや運動不足などが原因で起こる脂肪肝が増加しています。脂肪肝は、肝細胞に中性脂肪が蓄積した状態で、アルコールが原因のアルコール性脂肪肝と、生活習慣や運動不足、肥満などが原因で発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)があります。従来は軽い病気と考えられてきましたが、いずれも放置すると、肝硬変や肝がん、さらには心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることがわかってきました。こうした命にかかわる病気を防ぐためには、日頃から肝臓に負担をかけないことが大切になります。

 

 

GOOD! 今日からできる改善法

  • 改善法1 飲酒量を把握する

    「ついつい飲みすぎてしまう…」「どのくらい飲んだかわからない」「家にいつもお酒の買い置きがある」という人は要注意。1日の純アルコール摂取量が男性40g、女性20gを超えると病気のリスクが高まるとされています。晩酌する際は飲酒量を把握し、飲みすぎの場合は量を減らしたり、休肝日を設けたりしましょう。

     

    -おすすめ改善法-

    ☑ 1日の飲酒量を把握する
    ☑ 休肝日を設けて肝臓を休ませる
    ☑ お酒と一緒に水や炭酸水、お茶などを飲み、飲酒量を抑える
    ☑ お酒の買い置きをしない

  • 改善法2間食や夜食、飲酒の機会を減らす

    肝臓の病気の原因はお酒だけではありません。近年増加している脂肪肝は食べすぎが主な原因とされています。とくに糖分や脂質をとりすぎると肝臓に中性脂肪として蓄えられ、脂肪肝を招きます。また、日本人は皮下脂肪が溜まりづらく、肝臓に溜まりやすいため、太っていない人も脂肪肝に注意が必要です。

     

    -おすすめ改善法-
    ✅ 甘いお菓子やジュース、肉の脂身やバター、揚げ物を食べる頻度を減らす
    ✅ おやつは、砂糖が添加されていない食品(ナッツや無糖のヨーグルトなど)を選ぶ
    ✅ 食事がダブル炭水化物(白米+ポテトサラダ、ピザ+パスタ、ラーメン+チャーハンなど)にならないようにする

  • 改善法3 夕食はできるだけ早めに済ませる

    夜遅い時間は体が休息モードになって基礎代謝量が低下するため、食事で摂取したエネルギーは消費されにくく、肝臓に中性脂肪として蓄えられやすくなります。また、寝る直前の食事は睡眠の質の低下から、食欲をコントロールするホルモン分泌の乱れを招き、食べすぎや肥満の原因にもなります。

     

    -おすすめ改善法-
    ✅ 夕食はできるだけ早い時間にとる
    ✅ 夕食が遅くなるときは、消化のよいうどんやそば、スープ、雑炊、魚、豆腐などをよく噛んで食べる
    ✅ 夕食が遅くなるときは、夕方におにぎりやサンドイッチ、中華まんなどの補食をとり、遅い時間の食事量を抑える

  • 改善法4 ウオーキング+軽めの筋トレ

    コロナ禍で増加した在宅勤務などによって運動不足の人が増えたことが、近年の脂肪肝の増加の一因と考えられています。ややきつめの有酸素運動に軽めの筋トレをプラスすると、中性脂肪が消費されやすくなり、脂肪肝の予防・改善に役立ちます。

     

    -おすすめ改善法-
    ✅ 積極的に外出し、徒歩での移動を増やす
    ✅ 少し汗ばむ程度のペースで歩く
    ✅ 「スクワット」や「かかとの上げ下げ」で下半身の筋トレを行う

監修 慈恵医大晴海トリトンクリニック所長 横山 啓太郎

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