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令和6年度健保組合予算早期集計結果
健保組合の約9割が赤字、平均保険料率は過去最高に

健康保険組合連合会(以下健保連)が発表した「令和6年度健康保険組合予算編成状況―早期集計結果(概要)について―」によると、約9割の健保組合が経常収支で赤字、全体の経常収支は▲6,578億円の赤字の見通しで、平均保険料率は過去最高となることがわかりました。
※予算データの報告があった1,353組合の数値(令和6年3月22日時点)をもとに、4月1日時点に存在する1,379組合の財政状況を推計。

保険給付費、高齢者拠出金が増加
前年度に続く大幅な赤字に

経常収入9 兆53億円(前年度比3,891億円増)に対し、経常支出9兆6,631億円(同4,848億円増)となり、健保組合全体で経常収支差引額は▲6,578億円の赤字が見込まれています。前年度に続き2年連続の大幅な赤字で、赤字組合数は1,194組合(同103組合増)で全体の約9割、赤字額は956億円拡大しました。
保険給付費は令和4、5年度の医療費の高い伸びや著しい変動が懸念材料となり、5兆756億円(同2,945億円増)と例年に比べ高めの見込みとなっています。また、高齢者拠出金は団塊の世代が75歳に到達する影響により、3兆8,774億円(同1,701億円増)となりました。高齢者拠出金のうち、前期高齢者納付金は1兆6,003億円(同866億円増)、後期高齢者支援金は2兆2,769億円(同835億円増)と、それぞれ大きく増加しています。
保険料収入は8兆8,851億円(同3,811億円増)が見込まれます。被保険者数の堅調な伸びとともに、賃金引上げの追い風・効果が反映された結果となっています。
平均保険料率は令和元年度(新型コロナ感染拡大前)に比べ標準報酬月額、標準賞与額が回復・改善にあること、また、被保険者数が過去最高となるなど、保険料収入にとってプラスとなる好材料が多いものの、9.32%(同0.05ポイント増)で過去最高となりました。
収支均衡に必要な実質保険料率は10.27%(同0.17ポイント増)、料率を引き上げた健保組合は150組合(同15組合増)、協会けんぽの平均保険料率(10.00%)以上の料率を設定している健保組合は333組合(同20組合増)で全体の24.6%に達しており、現役世代の負担がますます増加しています。

高齢者拠出金の増加は続く

保険料収入は33年ぶりといわれる令和6年春闘の高い回答結果が反映されていないことや、保険給付費の伸び率が鈍化していることからプラス要因は見込めるとしています。1%の賃上げは800億円程度の保険料収入に相当するとしていますが、赤字の解消に至ることは考えにくく、高齢者拠出金の増加も続いており、全体として厳しい収支状況は続いています。
令和4年から団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり始め、令和7年まで後期高齢者と高齢者拠出金が急激に増加していきます。その後、ペースは鈍化するものの高齢者の増加は続き、高齢者拠出金も増え続ける見通しです。さらに、支え手となる現役世代は減少していくことから、現在の制度の維持は極めて困難な状況になります。
現役世代の負担を軽減し、能力に応じて全世代が支え合う、全世代型社会保障の構築に向けた改革は急務です。

 

 

 

 

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