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約8割の組合が赤字
拠出金は総額約3兆9,000億円

健康保険組合連合会(以下、健保連)が公表した「令和7年度健康保険組合 予算編成状況―予算早期集計結果について―」によると、令和7年度は経常収支が赤字予算編成となった健保組合が全体の約8割にのぼることがわかりました。
※ 令和7年3月31日時点に報告があった1,368組合の予算数値をもとに、7年4月1日時点に存在する1,372組合の財政状況を推計。

保険料収入は増加するも 経常収支では▲3,782億円の赤字

健保組合全体の経常収入は9兆3,936億円(対前年度予算比4.3%増)、経常支出は9兆7,717億円(同1.1%増)で、経常収支差引額では▲3,782億円の赤字となる見通しです。全体の約8割の1,043組合が赤字予算を計上しています。
収入では、保険料収入は被保険者数の堅調な伸びや令和6年春闘による30数年ぶりの高い賃金引き上げの効果を反映して9兆2,685億円(同4.3%増)となっています。
支出では、保険給付費は5 兆1,524億円(同1.5%増)、高齢者等拠出金は3兆8,933億円(同0.4%増)を見込んでいます。
保険給付費については、新型コロナ感染症の流行等の落ち着きを見込んで低い伸びとなりました。なお、令和6年度の医療費については、4〜9月は新型コロナ感染症に対する制度の変更の影響により0.3%と低い伸び率でしたが、10〜1月は2.9%と、新型コロナ感染症の影響が出る以前と同程度の水準に戻っており、健保連では「今後の動向を慎重に見極める必要がある」と指摘しています。
高齢者等拠出金のうち、前期高齢者納付金は令和4年度の新型コロナ感染拡大の影響を反映(精算)した6年度納付金の大幅な増加の反動により1兆5,577億円(同2.7%減)となる一方、後期高齢者支援金は後期高齢者数の増加を反映して2兆3,353億円(同2.5%増)となっています。
保険料率は149組合が引き上げを実施し、平均保険料率は過去最高の9.34%となりました。収支均衡に必要な実質保険料率は10.02%となっています。なお協会けんぽの平均料率(10.00%)以上を設定したのは335組合(回答組合の24.5%)です。

65 歳以上人口の増加は続き 高齢者等拠出金負担増は必至

高齢者等拠出金については、令和元年度と比べると4,589億円(対元年度比13.4%)増加し、とくに後期高齢者支援金の伸びが大きく、同3,580億円(同18.1%)増加となっています。義務的経費(法定給付費+拠出金)に占める拠出金負担割合は、4割を超える状況が続いています(グラフ参照)。
団塊の世代が75歳以上となる令和7年度以降も65歳以上人口は増加し、高齢者拠出金は増え続ける一方、現役世代の減少は続くため、拠出金の負担増は必至であり、今後も財政悪化が懸念されます。
政府がまとめた「全世代型社会保障構築を目指す改革工程( 以下、改革工程)」においては、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直していく必要がある」と明記されており、健保連の佐野雅宏会長代理は記者会見で「制度の持続可能性を高めるために、政府の『改革工程』に記載されている項目を前に進めてほしい」と訴えています。

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